君はよく知っているはずだよ♪

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しばらく歩くと、学校に向かって一直線に歩くルートに辿り着く。 鞴澤高校は高い丘の上にデデーンと建っているので、そこを通る時はさしずめ……魔王城に乗り込む勇者の気分になる。 案外、勇者も今の俺の気持ちみたいに、「だりー」とか「ねみ~」とか「帰りて~」とか思ってるのかも知れない。 旅立つ時は「よし、頑張って魔王倒して富と名誉を勝ち取るぞー!」という意気込んではみたものの、強い敵に出会ったり、必要なアイテムを取得できなかったりして挫折していき、ゲームの世界が実現した場合、いったい何人もの勇者がカジノに逃げ込み、その日暮らしをするはめになったのだろうか? そして―― いったい何人もの人が……入学した時に思い描いた自分の姿に成長して、高校を卒業することが出来るのだろうか? 「おーい! 遅刻しちゃうぞ、若木君!」 勇者はじめのテンションが3下がった。俺は声のした方へ振り返る。 自転車に跨がった委員長が現れた。 背後をとられた。逃げることができない。(別に逃げる気は無いけどさ)
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