新たな出逢い

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2年4組の教室は、新校舎の3階にある。 わたしたちの学校は山の上に位置しており、校舎が新旧に分かれている。職員室や事務室などがあるのは旧校舎で、生徒たちが勉強する教室があるのは新校舎。 新校舎と旧校舎は繋がっており、非常に複雑な造りとなっていた。新入生が迷って授業に遅刻するのが伝統になっているくらいだ。 わたしも最初はどこに何の教室があるのか覚えるのに苦労したが、今では目的地に迷わず行けるようになった。 それもこれも、いつもヤトがわたしの前を歩いて案内してくれたお陰だ。感謝感謝。 「ヤトが同じクラスで本当よかった!」 「あんま俺に迷惑掛けんなよ。授業中に居眠りなんかしたらもう世話してやんないからな」 心から喜びの言葉を伝えたつもりなのに、ヤトは相変わらずの毒舌。 ダメだこりゃ。わたしは苦笑いをひとつ返して教室の扉を開けた。
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