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新学期。ハジマリの朝。
わたしの横を、真新しいセーラー服に身を包んだ2人の女子高生が通り過ぎた。
キャッキャとはしゃぎながらも、その表情は期待と不安で強張っている。
「新入生か。若いねえ」
学校へと続く長い坂道を歩きながらそう呟くと、隣にいたヤトが呆れたようにため息をついた。
「16の女が言う台詞か?それ」
木塚 夜栄斗、16歳。わたしの幼なじみで、あだ名はヤト。黒髪に黒縁眼鏡の真面目な優等生だ。
わたしたちは家が隣同士ということもあり、毎日こうして一緒に登校している。
「いいじゃん別に。…それにしても、なーんかみんな表情暗くない?」
わたしは言いながらきょろきょろと辺りを見回した。坂を登る生徒たちの表情は、どこか陰を帯びている。
当たり前だろ、とヤトが言った。
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