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「何やってんだよ、お前」
ヤトが慌ててわたしの元へ駆け寄って来る。
いつの間にか、みんなの視線がわたしに注目していた。
「いやー、失敗失敗。高嶋くんに迷惑掛けちゃったよ」
わたしは自分の髪を撫でながらあはは、と笑う。と同時に周囲の人たちに向かってどうもー、と会釈した。
「ったく。気をつけろよな」
ヤトは腕組みしながらムスッとした表情でわたしを注意した。まるでやんちゃな娘を叱る父親だ。
ごめんごめん、と言いながら、わたしは玄関ホールの人混みが若干減っていることに気づいた。
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