胸躍る新学期

7/8
前へ
/20ページ
次へ
「何やってんだよ、お前」 ヤトが慌ててわたしの元へ駆け寄って来る。 いつの間にか、みんなの視線がわたしに注目していた。 「いやー、失敗失敗。高嶋くんに迷惑掛けちゃったよ」 わたしは自分の髪を撫でながらあはは、と笑う。と同時に周囲の人たちに向かってどうもー、と会釈した。 「ったく。気をつけろよな」 ヤトは腕組みしながらムスッとした表情でわたしを注意した。まるでやんちゃな娘を叱る父親だ。 ごめんごめん、と言いながら、わたしは玄関ホールの人混みが若干減っていることに気づいた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加