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館から出られるかわからない。迫り来る恐怖と手足がしびれるほどの緊張。
肩に乗せられた手に心臓は押し潰されそう。だって、あの顔がまた……目の浮き出たあいつがいるかもしれない、そう思うだけでギブアップしたいとこなのに。
だけどしないのは、とりあえずやってみようとした俺の意地。
おそるおそる振り向いて見えたのは、さっきの不気味な顔。
「ひっ!?」
風もないのにふわり舞う桜の花びら。
「タスケテ……」
「たすけて?」
冷たいけどなんだか寂しい声と、花びらの文字を読んだ俺の声が重なる。
「どういうことだ?」
桜の花びらの〈タスケテ〉は目の前の奴の言葉?
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