正体

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「タスケテ……」  また、冷たい声。足元では、にゃう☆と猫が鳴く。猫の声はなんだか嬉しそうだ。やるだけやった、みたいに俺を見上げて。 「あんたを助ければいいの?」  目の前のやつに聞く。 「タス、ケテ?」  ポロポロ泣き出した。そいつは、俺をつかもうと手を伸ばす。 「にゃあん☆」  さっきのベッド下を思いだし、咄嗟に身を退く。が、黒猫が後ろから体当たりして結局はつかまれた。 「タスケテ……」  それしかしゃべれないのか。掴む力は弱く、ポロポロ泣く。なんだかかわいそうで、空いた手を握ってやった。  手はさっきよりも暖かく、乱れた髪の隙間から覗く顔はさっきよりも怖くない。image=409206446.jpg
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