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「タスケテ……」
また、冷たい声。足元では、にゃう☆と猫が鳴く。猫の声はなんだか嬉しそうだ。やるだけやった、みたいに俺を見上げて。
「あんたを助ければいいの?」
目の前のやつに聞く。
「タス、ケテ?」
ポロポロ泣き出した。そいつは、俺をつかもうと手を伸ばす。
「にゃあん☆」
さっきのベッド下を思いだし、咄嗟に身を退く。が、黒猫が後ろから体当たりして結局はつかまれた。
「タスケテ……」
それしかしゃべれないのか。掴む力は弱く、ポロポロ泣く。なんだかかわいそうで、空いた手を握ってやった。
手はさっきよりも暖かく、乱れた髪の隙間から覗く顔はさっきよりも怖くない。
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