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「みゃうっ☆」
手を握った途端、黒猫が駆け出す。すると泣いてた目の前の奴も駆け出す。俺もそれに引かれて走る。
「どこ行くんだよっ」
ってついた先はさっきの部屋。
落ちた手帳を見て、鍵を落としたことを思い出す。ベッド下を見ようと屈むと、黒猫が鍵を持って出てきた。
「みゃっ☆」
足元にすりつき、なんだか機嫌が良さそうだ。
と、今度は隣であいつが本を拾い上げる。パラパラとめくり、また涙を流した。顔はまだいくらか怖いのに、よく泣くからどうしたらいいかわからない。
「ナオ……キ……」
教えてもいないのに、俺の名前を呼んだ。それは、さっきみたいな知らない冷たい声じゃなくて、よく知った可愛らしい声だった。
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