屋上と夜景と死

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屋上に彼女の姿はなかった。 男は呆然とした。 向かい側にはさっきまで自分が立っていたビルが見える。 何故だ。 なんなんだ、これは。 男は空を見上げた。 星はない。 しかし、その空の下では相変わらずネオンが光輝いていた。 呆然としながらも、ゆっくりと歩み始めた。 ビルの淵に立つと、彼女の思いが足元から伝わってくるようだった。 男は下界を見下ろしながら、涙を流した。 涙は目から滴り遥か下へと落ちていった。 あまりに長い夜。 酷い夜。 男は疲れきっていた。 しかし、その脳裏には不安や自殺といった言葉は跡形もなくなっていた。
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