若きウェルテルの悩み

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よくある話だが、一応私は靴を脱いだ。 さあ、もうあとちょっと。 下界を見下ろすと目が眩むが、今さら引き返すことはない。 自殺の理由はなんだろう。不安だ。ぼんやりとした不安だ。なんだ、芥川みたいで少し格好いいじゃないか。 僕は目をつむり、手を合わす。 アディオス、みんな。 僕は目をかっと開いた。 ええい。 いや、まて。 かっと開いた目の中で一瞬何かが見えた私は気づいたら、合掌をほどいていて、向かいのビルの屋上をじっと見ていた。
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