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「雄夜も早く計算しなよ。今日中なんでしょ?」
「そうだけどさぁ~…無理だよーッ!!」
ソファーの上で胡坐を掻きながら電卓と睨めっこしている雄夜を眺め、やれやれとため息をつく。
彼には計画性と言うものがないのだろうか。
ギリギリまで溜めて、終盤になってから焦り出すという典型的な例だ。
まるで夏休みの宿題を終えていない小学生の様。
「今年のクラス数は…あ、ファイルがないや」
もう雄夜のことは放っておこう。
そう心に決めると、部屋の壁際についている本棚に向かい一番上の段にある青いファイルをとろうと手を伸ばす。
が、いまひとつ身長が足りない。
「も、もう一息…」
限界ギリギリのところまでつま先を床につけ、思い切り目標物めがけて指先を張る。
あともう少しのところで、ファイルに手が届くという時だった。
「時雨!」
「ひゃあぁッ!!?」
突然後ろから抱きすくめられ、驚いておかしな悲鳴をあげる。
僕は主の分らぬ腕の中でじたばたと暴れていたが、力は強くなっていくばかり。
こんな力を持っている人物は、生徒会で一人しかいない。
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