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「生徒会長命令なら仕方がない。二人は戻って解散するまで留守番頼むな」
「…分りました」
面倒くさそうに腰を浮かせ、プリントを両手で抱えながら生徒会室を出て行った先輩と、追いかけるように扉の向こう側へと消えた雄夜を見送る。
だけど、僕はすぐに後悔した。
深く考えてなかったけど、よく周りの状況を見てみたら会長と二人で留守番なんて生徒会に入ってから初めての出来事だ。
(なんか分らないけど、不安…)
生徒会に勧誘してくれたのは会長だけど、未だにどういった話をしていいのか思いつかない。
僕がソファーの上で縮こまっていると、向かいに座っていた会長が何故か僕の隣に座り、ニッコリと笑みを浮かべる。
「生徒会には慣れた?」
「え? あ、まぁ…あの、気になっていたんですけど、どうして僕を生徒会に?」
「いやさ、なんとなく頼れそうだったし、真面目そうだったから」
「…それ、理由になってない気がするんですけど…」
そうか?と会長が笑う。
それから、なんとなく二人して口を閉ざしてしまった。
何を話せばいいのか、全く思いつかない。
僕が必死で思考回路を巡らせている時、会長がフッと微笑した。
そして、膝に頬杖をつきながら、
「時雨は、生徒会が好きか?」
と、当たり障りのない疑問を投げかけた。
でも、この場合逆にテンぱってしまうのが僕だ。
素直に答えていいのか悩んだ末、取り合えず頭の中で整理した言葉をそのまま口に出してみる。
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