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「そりゃ、時々嫌になることはありますけど…
心の何処かでは、やっぱり生徒会が好きなんだって感情はあるみたいです」
「そっかー…んじゃ、好きか嫌いかって言ったら?」
「…どっちとも言えないです…でも、会長には感謝しています。記憶がない僕に優しくしてくれて…しかも色々と教えてもらって…」
もごもごと歯切れの悪い言葉を呟き、ソファーのクッションで口元を隠すが改めてお礼を言うのはどうも照れくさい。
なんだか急に恥ずかしくなって、僕は思わずクッションに顔をうずめた。
先輩は僕をジッと見ているけれど、その瞳に妖しい光が宿っていたことは勿論知らない。
「な、何言ってるんでしょうね、僕…自分でも恥ずかしいです」
ダメだ。
このまま会話をしていたら絶対に自滅する。
僕は極力余計な言葉は言わないようにボキャブラリーを探した。
おかしいな。
記憶はなくても学力はそこそこの筈なんだけど。
「でも、会長の事は本当に心から尊敬していますし、何でもこなせる会長がうらやましいです」
「可愛い」
「ははっ、ホントにもう、何言ってるかわからな…え?」
「時雨、可愛い」
急に、会長の口調が変わった。
不思議に思ってクッションから顔をあげてみると、そこには何故か会長の顔。
どうやらさっきの言葉は聞き間違いではないようだ。
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