第1章

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秋の風が吹きつける10月中旬の今日。 今の季節は体育祭に合唱祭に文化祭と、色々な行事を抱えている。 もちろん、その大半のことが僕たち、生徒会の仕事であって… 「シグちゃ~ん…計算が合わない」 「それは雄夜の計算ミス。もう一度初めから打ち直せば?」 「えぇ~!?せっかく最後までやったのに!?」 「ぶつぶつ文句言う暇があったら手を動かす!!」 夏目高校B校舎2階に、慌しい二人の声が響く。 声主はもちろん、僕こと不知火時雨。肩書は生徒会書記。そして、もう一人は… 「もう50枚分計算しちゃったよ?」 「やり直しなよ。間違って出すよりよっぽどいい」 「うえぇぇ~!?シグちゃんの鬼ぃ!!」 会計のくせに何度も計算ミスをやらかす日永雄夜。 金髪にピアス、おまけに決して良いとはいえない身だしなみ。 こんな奴が生徒会に居ていいのかと心底不安になる人間である。 中身が伴っていれば問題ナシなんだけど、こいつの場合はおおありだ。 …それでも雄夜を『親友』と呼べるのは、きっと彼の人間性がいいからなのかどうなのか。 「僕だって忙しいんだよ。明日までに文化祭の予算額と各クラスの店舗の確認をしなくちゃならないんだから」 「えぇ~?でもそれはシオりんの仕事でしょ?」 「押しつけられたのッ!」 「あららぁ~…」 今僕たちがやっているのは、来月に迫った文化祭の細かな設定を決めること。 普通なら生徒会全員でやるけれど、何故か生徒会室には僕と雄夜しかいない。 …理由? 書記の先輩は校内の見回り(要するにサボり)で、生徒会長はまだ来ていない。まぁ、大方先生と話でもしているんだろうけど。
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