―それぞれの変化―

3/13
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
洋介は照れたようにそっぽを向き、腕を組んだ。 (あれ…手、つながないのかな?) 洋介の組んだ腕を見て沈んだ気分になり、自然と溜め息を吐く。 「……」 「……ほら、行くぞ」 「あ…」 洋介は、仁菜の考えていることを読み取ったかのように手を差し出した。 私が手を取らないと、洋介から私の手を握ってきた。 「じゃ、行ってくる」 「い、行ってきます!」 「はーい。いってらっしゃい!」 (…恥ずかしくなってきた。けど…嬉しい) 少しだけ強引だけど優しい洋介は、仁菜の大好きな彼氏。 仁菜ちは、自然とこのような関係になった。そう。どっちからとかじゃなくて、自然に。 でも、仁菜は最近、洋介から“好き”という言葉を聞いたことが無い。 (昔は、たくさん言ってくれてたのに…)
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!