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洋介は照れたようにそっぽを向き、腕を組んだ。
(あれ…手、つながないのかな?)
洋介の組んだ腕を見て沈んだ気分になり、自然と溜め息を吐く。
「……」
「……ほら、行くぞ」
「あ…」
洋介は、仁菜の考えていることを読み取ったかのように手を差し出した。
私が手を取らないと、洋介から私の手を握ってきた。
「じゃ、行ってくる」
「い、行ってきます!」
「はーい。いってらっしゃい!」
(…恥ずかしくなってきた。けど…嬉しい)
少しだけ強引だけど優しい洋介は、仁菜の大好きな彼氏。
仁菜ちは、自然とこのような関係になった。そう。どっちからとかじゃなくて、自然に。
でも、仁菜は最近、洋介から“好き”という言葉を聞いたことが無い。
(昔は、たくさん言ってくれてたのに…)
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