儚い夢、散るは僕

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 胸が苦しくなってくる、というのはどうやら気持ちの問題では無さそうだ。  さっきまで規則的な電子音を鳴らしていた機械が慌ただしく鳴り響く。  あぁ、終わるのか。  胸が苦しい。  手を伸ばせば届く場所にはナースコールがある。  伸ばせば届く、だけど伸ばさない、伸ばせない。  生きたい、死にたい、頭がこんがらがる。  押せば助かるかもしれない。  そして、奇跡的な助かりをするかもしれない。  押しても間に合わないかもしれない。  そして、このまま死ねればいいのかもしれない。  そうだ、死ねればいいんだ。  夢は夢で終わらせれるから綺麗なまま終わるんだ。  あはは、あんな悩んでいたのに最後の最後になってどうでもよくなったよ。  誰に向けてでもなく、この叶わないまま終わる夢と僕に向けて呟こう。
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