借金まみれの少年のお話

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「おーい、もう全員帰ったぞ。お前らもさっさと帰れ」  相変わらずやる気の無い声で、俺達に帰るよう担任は催促して来た。  そして気怠そうに学級日誌を手にして、俺達二人を残し教室から出て行く。ガシャン、とスライド式のドアが閉まる音だけが教室に響いた。賑わっていた教室も、いつの間にか静まり返り数個の机や椅子が乱れている。  そして一月の肌寒い風が開けっ放しの窓から漏れ、入学式には綺麗だった黒板も、今ではチョークの跡が残っている。  もう直ぐこのクラスとはおさらばだな……、と思うとなんだか感慨深いものが胸に込み上がってくる。 「じゃあ帰るかーカオルー。あっそうだ!! 帰りにゲーセン寄っていかないか?」 「ん……仕方ないな、今日はタクについて行ってやるか」 「またまたぁー、本当は俺と遊びたくて仕方がないん――」 「気持ち悪いこと言ってないでさっさと行くぞ」  俺は駆け足でタクを置いて、一年C組の教室から出て行った。  後ろから『待てってカオル!! 置いてかないでくれよ!!』と、不審者紛いの人物の声が聞こえたのは、俺の気のせいだろう。  
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