王家の休日に招かれる者達

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 牢屋、何となくこの部屋の雰囲気でわかる。大きな鉄の棒が、俺が逃げないように遮る典型的な形式の牢屋が目の前にあるのだから。  しかし、何で俺は捕まったのか、という疑念が残った。 『主人は脳震盪で気絶しましたが、やはり銃の一撃が効いたようで……怪物は息絶えました。そこにタイミング良く、アリ・フーラ・アデレード王国の戦乙女"ヴァルキリー"が到着します。町の火を消火後、住民は保護されて主人は拘束。そして、今に至ります』 「……、」 『……まんまと『俺の所持品』にやられちゃってね』  まさか、な。  モーグルの言い分と夢の中のアイツの言い分が全く違う事に気づく。現場にいた、モーグルが嘘を吐くはずが無い。  一方、アイツは夢の中。俺の変わりに身体を借りた、操った、如何にも「私があのモンスターを倒しました」と言わんばかりの口調だった。  所詮は夢、か。俺はそう割り切って、怪しげな幻想を追うのを止めた。どうせ悩んだ所で、答えは永久に出ないからだ。 「主人?」  そして、俺が捕まった理由も容易く想像出来た。あの建物、炭、灰、そしてうっすらと思い出される半壊した広場。おそらく、器物損壊、放火魔、のうちのどれかに値して捕まったのだろう。  本当ならば、あのモンスターの死体が発生され、この世界の常識に従って俺は処罰されずあのモンスターに矛先は向くだろう。が、現に俺が捕まったという事は……つまり"そういう事なんだろう"。 『主人どうかしましたか? 疑問点があるならば、私になんなりと申して下さい』 「あっ、いや。特には……ただ少し考えて事していただけ」  いつの間にか、深く考えて過ぎてしまった。また何時もの癖が出てしまったようだ。いけない、と自分に言い聞かせ俺はそっとある物に指差した。 「ちょっと、あれをどうすれば良いかを考えていたんだけど……何か方法は無いか?」  
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