借金まみれの少年のお話

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 ゲームセンター、『カスタム』。  直訳すれば、『習慣』。はっきり言って、センスが感じられない。習慣的に来てくれ、と言っているとしか思えないな。一体誰がこんなネーミングをしたのだろうか。  俺達は今、そのゲーセンの前にいる。  俺達が住んでいる場所は、都会か田舎かと聞かれれば、迷わず田舎と答えられる程、寂れていると思う。そんな場所にあるゲームセンターも、勿論寂れていた。  おそらく一世代遅れたようなゲーム機に、ほぼ半壊の自動販売機。そんな所に何故、俺達が来ると言うと理由があった。 「おーい、カオル。財布の準備はいいか?」 「ハイハイ大丈夫ですよー」  俺は乗る気ではない事であった。俺の予想が当たっていれば、今回の商品は好きな人もいるだろうが、個人的に好きでは無い。 「遂に、今日こそ!! あの麗しのマユたんをゲットできるぜ!!」  UFOキャッチャー。  アームの力が弱くて、目的の物が取れなかったり、商品を落とす出口が小さく、出口付近で詰まったりする悪徳販売機だ。  しかし、このゲーセンは違う。アームの力は無駄にパワフルで、商品は何故か最新の物ばかり。取って持って帰って下さい、と言っているも当然な機械となっている。 「俺は先に行くぞー!! ハッハッハッハッハッ!!」  高いテンションを保ちつつ、タクは寂れたゲームセンターの中に入って行った。  ポツンと、辺り一面が静かなゲームセンターの前に一人、俺は取り残された。 「……俺も行くとするか」  俺は重い足取りで、ゲームセンターの中に入り、タクの行方を追った。  
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