俺と平凡がお付き合い

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土日を挟んだ月曜日、午後から登校した。 普段なら間違いなく休んでいるが、今日は傘を返すためだけに来たと言っても過言ではない。 隣のクラスの平凡野郎は、果たして傘が返ってくるなんて思っているのか。 ちゃんと天日干しした傘を持って、A組を覗き込んだ。 「……篠田、いるか」 たまたま近くにいた見たことある奴に声をかけると、そいつは何故か嬉しげに声を張り上げた。 「篠田ー!!」 「……ッ…何?磯本。」 「翠がお前に用事っぽい。な、翠?」 呼び捨てされるほどの仲だとは思ってなかった…。 「あ、あんた…」 「……傘、返す」 本当に返ってくるとは思ってなかったのか、一瞬、きょとんとしたのち口を開いた。 「あ、ありがとう…」 「こっちの台詞だから。……助かりました。どーも、ありがとう」 「………何で棒読み?」 「慣れないから。」 「……そか。」 「ああ。」 俺が怖いだろうに、目を逸らさずに話す。 そんな姿に、興味がわいた。 .
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