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「この浮気者ーッ!!」
近所迷惑という言葉が頭を過ぎるのは、この数秒後。
暇だしネットでアニメでも…
そう思った矢先に突然、恋人に呼び出された。
普段、滅多に自分から連絡をしてこない恋人からのお誘いに浮かれて部屋を飛び出して…
ニヤニヤしながら合い鍵で家に入ったのが間違いだった。
せめて呼び鈴を鳴らしていれば、と、悔やまれる。
所謂、フツメンと呼ばれる容姿な俺、篠田有希とは対象的に…イケメンと呼ばれるに相応しい容姿をした恋人の名前は、古谷 翠という。
勉強は授業に出てないから出来なくても仕方ないとして、名前までオシャレでここまで完璧だと嫉妬するも何も始めからつくりが違うのだと諦めがつくというもの。
更に補足をするとすれば、性別。
俺の恋人は、同性なのだ。
イケメンに告られたら、例えホモじゃなくても考えちゃうって。
しかも、ちょっと怖かった。
付き合ってから、かれこれ1年目前の今日この頃
だんだんと愛の大きさに差が出来てきて、オレが豆腐なら恋人は大豆。
つまり、俺って愛されてないな、って。
女、子供じゃないにせよ…
堪忍袋の緒が切れました。
「……ッ…もう知らん!別れる!」
「有希、来たのか…」
「そりゃ来るわ!つか、呼んだのお前だしっ」
「何よ、コイツ!キモい!出てって!」
やたら語尾の強い美人なお姉さんに跨がったまま、首だけこちらを向いた状態の翠。
恋人と恋人の浮気相手と一緒にいるこんな空間に耐え切れなくて、俺は部屋を飛び出した。
「翠の馬鹿!イケメン!お前なんか、ちんこ取れちまえ…ッ」
放送禁止用語を捨て台詞にして。
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