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蝉が鳴くのが嫌いだった。
泣かないアイツが嫌いだった。
否、たまたま視界に入った。
そう思うことに、する。
俺、古谷翠は、ガヤガヤと煩い教室で馬鹿騒ぎする集団の中心に何故かいた。
コイツ等も蝉と同じだ。
精々騒ぐだけ騒いで、抜け殻をいつまでも被り続ける憐れな、蝉。
俺は、なんで、ここにいる?
汗の滴ることもない、完全冷暖房完備の校舎の中で窓越しにも聞こえる鳴き声の方が、集団の騒がしさより何倍もマシだと思える。
……詩人か、俺は。
ジジくせぇ…
ジジィは家のだけで十分だ。
カラッと晴れた空が憎々しい
そんで、1日でも長くアイツ等が長生きすればいい。
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