俺と平凡がお付き合い

2/5
前へ
/12ページ
次へ
蝉が鳴くのが嫌いだった。 泣かないアイツが嫌いだった。 否、たまたま視界に入った。 そう思うことに、する。 俺、古谷翠は、ガヤガヤと煩い教室で馬鹿騒ぎする集団の中心に何故かいた。 コイツ等も蝉と同じだ。 精々騒ぐだけ騒いで、抜け殻をいつまでも被り続ける憐れな、蝉。 俺は、なんで、ここにいる? 汗の滴ることもない、完全冷暖房完備の校舎の中で窓越しにも聞こえる鳴き声の方が、集団の騒がしさより何倍もマシだと思える。 ……詩人か、俺は。 ジジくせぇ… ジジィは家のだけで十分だ。 カラッと晴れた空が憎々しい そんで、1日でも長くアイツ等が長生きすればいい。 .
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

223人が本棚に入れています
本棚に追加