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翌日。
予想通り昨晩の土方と沖田の追いかけっこや攻防戦のおかげでぐっすりと眠ることができなかった。
ちなみに寝る部屋は土方と同室だ。
間者かどうかの監視も兼ねているのだろう。
欠伸をしていると廊下の向こう側から永倉、藤堂、佐之さんの三人が歩いてきた。
「よ!壱夜。昨日は眠れたか?」
「佐之さん、おはよう。藤堂と、永倉もおはよう。昨日はあまり眠れなかった。」
そう言うとあの状態じゃそうだよな、と同情してくれた。
「なぁ壱夜。」
「何だ?藤堂?」
「お前その言葉遣いやめねぇ?それ、あんまり女っぽくないぞ?」
「此処にいる間は男になれといわれたが……確かに昨日土方にも敬語を使えと言われた。」
「そうだよ。その方がいい。」
「そうか。ええと、こんな感じですか?」
少しぎこちない敬語を使ってみる。すると三人が「そうそう」と言って笑いかけてくる。
「それとさ、俺、平助でいいよ。歳も同じ位だろうし。」
「わかりました。それじゃ、平助君と呼びます。」
そう笑いかけると平助君は少し頬を赤くした。
大丈夫かな?と思っていると永倉さんと佐之さんが平助君をからかい始めた。
「お前、いま壱夜に見惚れてただろ?」
「おーおーおー。若いねぇ。」
「う、うっせーな!!どうでもいいだろそんなこと!」
何を言っているかよくわからないが、この三人は元々仲がいいようだ。
なんだかほのぼのとしてきて暖かい気持ちになった。
その様子を微笑みながら見ていると、三人とも視線にきずいたようで此方を見つめてくる。
「壱夜。おまえ笑うと可愛いな。」
「ああ。超絶的に可愛い。」
「可愛い?」
そう言うと永倉さんが「ああ」と言う。
「このさらさらの黒い髪に大きな黒い瞳、それに男でも女でも異性から惹かれるような中性的な顔はそこら辺にはそうそういねぇぞ。」
「なんだよ、新八っあんも佐之さんも人のこと言えねぇじゃねぇか。」
「なんだと?」
そうしてまた三人のじゃれ合いが始まった。
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