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夜。
――無我夢中で走り続けて建物にさえぎられた。
「ここまできたら…」
ふと我にかえって辺りを見回す。
「ここは…………何処だ。」
その時だれかが来る気配がし、とっさに木陰に身をかくした。
「ったくお前はどうしていつもこうなんだ。」
呆れた声で話す男にもう一人の男が肩をボンボン叩く。
「いーじゃないですかぁ、土方さん。」
土方と呼ばれた男は眉に皺をよせながらため息をつく。
(ひじかた…?)
聞いたことがある。誰だったか…
「いーか総司、お前ももういい大人なんだから…」
(そうじ…?)
沖田総司か!!
「っつ…!」
びっくりして思わず足元にある小枝を踏んでしまった。
「誰だ!!」
土方と沖田はこちらに気づき、刀に手をかける。
やばい…逃げなければ殺られる。
そう思うが身体が動かない。頭もガンガンしてくる。
だめだ……
そのまま倒れてしまった。
薄れゆく意識の中、二人の顔が覗き込むのが見えた。
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