序章

2/2
前へ
/406ページ
次へ
夜。 ――無我夢中で走り続けて建物にさえぎられた。 「ここまできたら…」 ふと我にかえって辺りを見回す。 「ここは…………何処だ。」 その時だれかが来る気配がし、とっさに木陰に身をかくした。 「ったくお前はどうしていつもこうなんだ。」 呆れた声で話す男にもう一人の男が肩をボンボン叩く。 「いーじゃないですかぁ、土方さん。」 土方と呼ばれた男は眉に皺をよせながらため息をつく。 (ひじかた…?) 聞いたことがある。誰だったか… 「いーか総司、お前ももういい大人なんだから…」 (そうじ…?) 沖田総司か!! 「っつ…!」 びっくりして思わず足元にある小枝を踏んでしまった。 「誰だ!!」 土方と沖田はこちらに気づき、刀に手をかける。 やばい…逃げなければ殺られる。 そう思うが身体が動かない。頭もガンガンしてくる。 だめだ…… そのまま倒れてしまった。 薄れゆく意識の中、二人の顔が覗き込むのが見えた。
/406ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2149人が本棚に入れています
本棚に追加