始まり

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「貴様ら!!」 芹沢だけじゃなく他の皆もその言葉に怒っているようだ。私も見下されるのは好きではない。でもなんだか嫌な予感がする。 刀に手をかける音が聞こえた。 その途端芹沢は持っていた鉄扇で目の前の力士を殴りつけた。それを発端に皆が力士に飛び掛ったのだ。 私の脳裏にある情報がよぎる。 「だめだっ!!皆やめろっ!!」 私は力の限り叫ぶ。 だが、皆は止まらない。 「ここまで愚弄されてひきさがれるかっ!」 皆の気持ちもわかるつもりだ。だが此方も引き下がれない。 「私たちは大阪の不逞浪士を取り締まりに来ただけだ!一般人に危害を加えろと言う命令は聞いていない!いくら愚弄されてもここは引き下がらないと命令違反になる!」 そう捲くし掛けると皆は少し怯んだ。だが、芹沢だけが止まらない。いてもたってもいられなくなって近寄って芹沢を止めようと彼の腕を掴むと簡単に放り投げられてしまった。そのまま後ろに尻餅をつく。 「芹沢っ!!」 「うるさいわ。そんなひ弱な力しかない女子に言われても説得力がないわ」 そして芹沢は刀に手をかけそのまま抜きさり、力士の一人に斬りかかる。 「やめろぉ!!」 私の制止も空しくそのまま力士は息絶えてしまった。他の力士達はそのまま街の方角へ逃げる。 私は暫く呆然としていた。斉藤さんと沖田さんに「大丈夫ですか」と声を掛けられて我に返り、芹沢をキッと睨む。睨まれたかれはただフンと鼻で笑い先に行ってしまう。 「すごい剣幕でしたね、壱夜さん。芹沢さん相手に食ってかかって。」 沖田さんが手を差し伸べてくれる。それを素直に受け入れて立ち上がった。近藤さんが後ろから声をかけてきた。 「頭に血が上って冷静に判断できていなかったよ。君がいて助かった」 「お礼なんていいですよ。私も少しムカツキましたし。それに途中から血が上ってたみたいですし」 そう言って苦笑する。 少し冷静になって先程脳裏に浮んだ情報を整理する。 「…まさかな。ありえない。」 そう小さく呟いてその情報をかき消した。
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