1.砕けた砂糖菓子

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+++  雛白高校は、私が住んでいる地元でも有名な進学校。  合格する偏差値ギリギリだったのに、どうして合格したのかが不思議でたまらなかった。  まぁ、難しいことを考えるのは止めよっ! こうやって竹本先輩と一緒に居られるんだし!  一学期の終業式のときに、親友の由香里と千紗から同じクラスの藤崎先輩と別れたという情報を教えてもらっていた私の気分は晴れやかだった。  付き合っているのを学校帰りに目撃して以来、あんなに沈んでいたのが嘘であるかのよう。 「竹本先輩、地理・歴史コーナーの点検終わりました。二冊見つかりませんでした」 「ありがとう」  見つからなかった本のナンバーと題名をメモした紙を手渡すと、先輩は柔らかな笑みを浮かべて御礼を言ってくれた。  その笑顔は反則だよ、先輩。  ……心臓に悪い。  ここは冷房が効いているから残暑の厳しさは感じないけど、私にはそれは効いていないみたいだ。  ちなみに図書室は、管理棟三階の一番奥の角にある。  夏休みの間は夕方の四時まで開館しているけれど、夏休みの図書室を利用する人はあまりいない。  その代わりにやって来る仕事は、貸し出ししたままに返却しない生徒の確認や行方不明になっている本がないかどうかを各ジャンル毎に確認して、司書である安藤先生と一緒に一覧表を作成しておく。  二学期になったら、一覧表と貸し出しカードを照会することができるようにするためにだ。
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