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「目、覚めた?」
ぼんやりとしている状態だった。かろうじて、その声に頷ける。
……ここ、どこだったっけ?
そんなことを働かない頭で考えようとする。
「ごめん。やっぱり無理させちゃったみたいだね」
労わってくれる声と髪を撫でてくれる大きな掌が心地良い。
特有の匂いと一緒に肌が汗ばんでいるのが感じる。ふわりと漂う爽やかなオードトワレの匂い。それも心地良い。
背中には、しわくちゃのシーツの感触がする。
どうしてだろう。
とっても喉が渇いてる。何か返事したいけれど、上手く言えないし。
そのとき、口が塞がれて何かが注がれる感触がした。
ああ、水だ。
それが今の私にはとても欲しがっているものだったから、素直にそれを飲み込んだ。何度もその行為を繰り返していると、水が雫となって頬を伝い落ちていく。
喉が潤うと、自然と違うものが欲しくなってくる。
体のあちこちが痛いし、下半身は鈍痛があるというのに。それでも欲しくなって仕方がない。
自然と舌が絡み合い、深くなっていく。
今度は水ではなく、絡み合って出来上がった二人分の唾液を飲み込んだ。
唇が離れる瞬間、唾液が細長い糸の様に伸びていく様を私は見ていた。
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