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「い、いる訳ないじゃないですか。……もてないし」
自分の容姿に自信はない。身だしなみは、登校する前にきっちり準備しているけど。
告白なんてされたことない。
「そんなことないよ。知らないの? 君、無邪気で可愛らしいって男子生徒に人気あるんだよ?」
「そんなの聞いたこともないし、知りません!」
「……良かった」
「? なにが、ですか?」
「そういうヤツがいなくて良かったって意味」
「へ?」
な、何? この急展開。
全然ついていけない。何が起こっているの?
先輩はそっと細長くて大きな掌で、唖然として言葉が出ないでいる私の両手を握り締めながらこう言い続けた。
「桜井さん、貴女が好きです。僕と付き合ってくれませんか?」
夢中にこくこくと頷くことでしか出来なかった。
まだ現実として受け入れなくい、夢見心地の私がいて。
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