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2.新月の揺りかご
傷付くのが嫌なら、逃げてしまえばいい
裏切られるのが嫌なら、先に自分から裏切ってしまえばいい
安易に人間を信用するなんて愚かなことだ
信じている分だけ、裏切られた痛みは同等かそれ以上にもたらすから
自分を信じていない分を他人で補おうと求めるのも愚かだ
そう教えてくれた人がいる
でも、それを教えてくれた人の表情も哀しみに包まれてた
お互いに何を求めているのかは明白だけど
それを言葉にはしない
恐れているから、言葉にしない
その代わりに逃げる術を教えてくれて、私はそこへ引き込まれるのを拒まなかった
絡めた肌を褥に
情欲と法悦を枕にして
深淵の闇で今日も私達は眠り続ける
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