☆あたしと冬夢。

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爽やかな朝。 チュンチュン……。 小鳥達が可愛らしい歌声を披露している。 ーー花形家ーー 純和風、総二階建ての家。 ここがあたし花形 春美の家。 「春美~。 朝ご飯よ~」 ママがあたしを呼ぶ。 「はぁ~い。 すぐ行く!」 あたしはいそいそと真新しい制服に着替える。 無事入学式を終えて、今日からあたしは高校一年生。 中学生から高校生になって、何だかちょっぴり大人になった気分。 「……姉貴、何笑ってんだ? 頭、おかしくなったか?」 トーストをかじりながら、弟の花形 夏樹(はながた なつき)は首を傾げた。 少し長めの黒髪にどんぐり眼で、あまり背の高くない夏樹はまだ少年のあどけなさが残っている。 ちなみに、中学二年生である。 ……しまった。 つい顔がにやけてたわ。 「いや、うん。 思い出し笑い。 ハハハ」 あたしは苦し紛れに言い訳をする。 「ふ~ん」 夏樹、姉ちゃんをそんな可愛そうな目で見ないでよ~。 「春美、そういえばお隣りの冬夢くんも同じ高校よね?」 ……そうだった。 そうだったのよ。 あたしと冬夢は中学は見事三年間バラバラのクラスだったから冬夢がどこの高校受けたか知らなかった。 だから、入学式でおじさんと冬夢に遭遇した時は正直驚いた。 普通に接しようと思ったけど、何かギクシャクして上手く話せなかったのよね。
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