緋乃瀬でございまーす

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緋乃瀬「あちーなー。」 中庭は学校裏にあり、午後は日がもろにあたる。 沙月「そうですねー、春にしては暑いですよね。」 制服の襟をパタパタとさせながら木陰へ腰を下ろす。 緋乃瀬「てかあいつほんとについてこなかったな。機嫌損ねたか?」 沙月「成人のことだから教室に戻った頃には機嫌なおってますよ。」 緋乃瀬「まぁどーでもいいけどな。」 そういいながら沙月に渡された弁当の包みを開ける。 緋乃瀬「おっ。結構本格的だな。」 弁当の中身は卵焼きや、しょうが焼きなどと手作りの食がつめてある。 沙月「初めてだからって見くびらないでくださいよー?」 緋乃瀬「それじゃあ、食べるとするか。さて、なにから食べようか…」 沙月「だったらこの卵焼きがおすすめですよ!」 緋乃瀬「ん…じゃあ…」 きれいな黄色の卵焼きを口に運ぶ。 沙月「どうですか?」 緋乃瀬(まずくはない。けっしてまずくはないのだが…………。) 沙月「緋乃瀬さん?」 緋乃瀬「………これは…卵焼きだよな?」 沙月「なに当たり前なことを…」 緋乃瀬「辛いんですが。」 沙月「え?」 辛い。辛くないはずのものが辛い。 緋乃瀬「まずくないよ?まずくないけどある意味まずい気がするんだ。」 まずくないけど、卵焼きが辛いっていうのは… 沙月「美味しいならいいじゃないですか?」 この良ければなんでもいい、的な辺りはやっぱり成人の妹だなと思う。 緋乃瀬「てかどうしたら卵焼きが辛くなるんだ。それもコショウとかの辛さではなく明らかにハバネロ的な辛さだぞ。」 沙月「まずいですか?」 緋乃瀬「いやうまいけど…」 沙月「なら問題ありません。」 もう一度言おう。 やっぱり成人の妹だと思う。
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