緋乃瀬でございまーす

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あれから弁当を完食した。 味がおかしいのは卵焼きだけではなかった。 しょうが焼きと思われる肉は、絶対砂糖入れただろ、と思うほどしょうがの味とは遠くかけ離れて甘かったりした。 他にもご飯が炒飯だと思ったら、赤飯みたいな味がしたりした。 でもまぁ… 緋乃瀬「まずくはないんだよな~」 成人「なんだそれ…」 現在は教室に戻り授業が始まっている。 緋乃瀬「お前の妹どうなってんだ。食でいったらお前よりデンジャラスだぞ。」 成人「俺だって妹の料理なんて食ったことねぇからわかんねぇよ…」 緋乃瀬「でも妹言ってたじゃねぇか。成人はうまいかまずいしか言わないって。」 成人「それは毎年のバレンタインに作ってくれる、チョコレートケーキの感想だよ。」 緋乃瀬「なんだ、お前がバレンタインにへこたれない理由は妹にあったのか。」 成人「俺だって妹以外からチョコレート貰ったことくらい!」 緋乃瀬「……。」 成人「ねぇよぉぉぉぉ………!!」 急に机に伏せる。 机に水滴がたまるのがわかる。 緋乃瀬「なに自分で言って自分で傷ついてんだ…」 成人「お前こそ、バレンタインチョコ貰ったことあるのかよ!」 緋乃瀬「無いけど?」 成人「ハハハハハ!お前も人のこと…!」 緋乃瀬「クッキーなら毎年貰ってるがな。」 成人「うわぁぁぁぁ!」 また泣き出す。 声をあげて泣き出すものだから、成人に冷たい視線が突き刺さる。 緋乃瀬「いや、俺甘すぎんの嫌いだから。」 教師「おい、成人うるさいぞ!」 成人「ヒック…………泣いてねぇよ!!!」 なにも言ってない。 緋乃瀬「黙れ負け犬。」 成人「…………ヒック…。」 また机に伏せる。 緋乃瀬「先生大変ですぅ~成人君が先生の頭部見て笑い泣きしてますぅ~」 英語の神有(カミアリ)先生。 一昨年から髪が抜け落ち始め、現在は完全にてっぺんが禿げてしまっている。 神有「2人とも廊下に立ってろーーーー!!」 顔を真っ赤にして怒鳴る神有。 緋乃瀬「先生、怒ると頭皮に悪いですよ。」 神有「まじで!?」 成人「どんだけ諦め悪いんだよ!」 伏せていた成人が思わず顔を上げる。 緋乃瀬「負け犬。一生起きなくても良かったんだぞ。」 成人「うるせぇだまれ!」 神有「そうだぞ、チョコレートの数だけで人の価値がわかってたまるか!」 成人「…………。」 緋乃瀬「…………。」 生徒達((…………。)) その時クラス全員が神有を可哀想なものを見る目で見た。
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