結城海波・魔

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 実は少しは期待していた。  鎌田さんも私のこと好きなんじゃないかって……。  私と一緒にリスクを背負ってくれたし、責任も取るって言ってくれた。  悪夢にうなされた夜、怖くてどうしようもない時は少しだけ肩を抱いてくれることもある。  でも……絶対に一緒に寝てくれることはない。  必ず自分の寝袋に入り、冷たく背中を向ける。  実は、その背中を見るのが嫌で布団を買った。  掛け布団越しの背中の方が……幾分マシに思えたからだ。
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