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ガチャ
「……」
何の迷いもなく
バッグに荷物をまとめ始めた
「ちょっと、優……」
「優ちゃん、どうするんですか……?」
「見れば分かるでしょ……」
「そりゃ、わかりますけど……でも、よくないですよ」
「……」
「優、お母さんもお姉さんも悪気があってやってるんじゃないわよ……あんたのために頑張った結果、裏目に出ちゃっただけで……」
「……」
そんなの尚更たちが悪いじゃないか
お母さんとお姉ちゃんは昔からそうなんだ
我慢を続けたこともあった
好きな気持ちと同じくらい
嫌いな気持ちもあったみたいだ
「……」
「どこ行くつもりよ……」
「……」
「家出なんてやめなさいよ……」
「どうせ寮に行くんなら同じでしょ……」
「家出と寮に住むのじゃ大違いよ!」
「そ、そうですよ、優ちゃんらしくないですよ」
何にも分かってない
私の気持ちなんか
「何にも分かってないくせに!!」
「!」
「!」
「私のことなんか何にも分からないでしょ!!」
私はこんな大きな声を出せたんだ
こんなセリフでそんな事実が判明した
皮肉なことだ
「……双子には分からないよ、私がどんな気持ちで生きてきたか……」
「……」
「……」
「……いじめられて、親が離婚して、女子高行けって言われて、寮に住めって言われて……」
「……」
「……」
「ずっと大人しくして我慢してたよ……でも……でも……私だって人間だもん……」
我慢できなくなることだってあるんだ
私は人間だから
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