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夜道はとても涼しくて気持ちがいい
この状況下でなければ幸せだと言っても過言ではない
いや過言かもしれないが
「優、ちょっと待っててくれる?」
「え?」
「一応親に話し通しとくから」
「……ダメって言われたらダメでもいいからね?」
「大丈夫よ、莉菜は優の話し相手になってて?」
「うん(^^)」
勇ましいその女の子は、お屋敷と言えるほど大きな家の扉を開けた
「……優ちゃんのご家族は、昔から……その、あんな感じなんですか?」
「……うん」
「そうですか……」
「人を傷付ける天然はたちがわるいよ……」
「……」
「で、でもね……酷いことばかりするわけじゃないんだよ」
何を言っているんだ
何故今更二人をかばうの?
「分かってますよ(^^)」
「え?」
「酷いことばかりだったら、耐えられませんもん(^^)」
「……」
やっぱり好きだからだ
深い絆で結ばれた家族だからだ
今頃二人は何をしているのだろう
挨拶……しとけばよかったかな
「……帰りますか?」
「え……か、帰らないよ!」
「じゃあ、もうそんな顔はやめてください」
「……」
「そうよ、こっちが気ぃ使っちゃうじゃないの」
いつの間にか少女が戻っていた
かなり早い帰還だ
「……ごめんなさい」
「ウチはOKよ、後はあんたが決めること」
「……」
この家に足を踏み入れれば
それは、家族との決別を意味する
今帰れば
家族の関係を取り戻せるかもしれない
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