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「父親も母親も双子が可愛くて仕方がなかったのか、私にはほとんど甘えさせてくれなかったなぁ~(^^)」
「……」
嫌な思い出をどうして笑顔で語れるのだろう
私には出来ない
舞台の裏を見ているようで複雑な気持ちになる
「……だから、優君みたいな子が新鮮でね(^^;)」
「……」
光栄だけど
素直に喜べない
二三四さんは浮かばれないと思った
明日から私は学校の寮に住むのだから
自意識が過剰なのだろうか
「……ふふ、可愛いね(^^)」
二三四さんが優しく頭を撫でてくれた
『優ちゃん(^^)』
「……」
お姉ちゃんを思い出した
お姉ちゃんも
寂しい時や、辛いとき
リラックスするまで撫で続けてくれた
「……ごめんね、付き合わせちゃって」
「いえ……二三四さんのお力になれたなら光栄です」
「ありがとう……ごめんね」
二三四さんは口癖のように
『ごめんね』
そう言う
二三四さんは何もしていない
謝らなくていいんだ
「……コップは私が片付けとくから、もう寝たほういいよ、引きとめたの私だけどね(^^;)」
「はい……そうします、ココアありがとうございました(^^)」
「引きとめてごめんね……」
また、謝った
扉を開けた私を誰かが抱き締めた
二三四さんだ
「!……」
「優君、大丈夫……いつかお姉ちゃんともお母さんとも仲直り出来るから」
「……はい」
「……びっくりした?……ごめんね」
人は自分の弱さを極力表にださない
強くいたいから
明日は登校日
プロローグも冒険の始まりの説明も終わった
ここから私の物語が始まる
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