Valiant Soldiers!

『聖騎士』

　光。それは力。

　聖なる力を剣に宿し、敵陣を切り裂き、戦場を突き進む騎士。それが聖なる力を秘めた騎士である私だ。

　私は、ルスラン王国に仕える『シャルンホルスト』という由緒ある騎士の一族の出だ。我が祖父も父も戦場で先陣を切って敵陣を切り裂き、友軍の道標を造り出して進軍し、いざ撤退するとなった友軍を守るために殿(ｼﾝｶﾞﾘ)を務める誇りのある騎士だった。

　王国の為、国王の忠誠の為、そして我が一族の繁栄の為と代々受け継がれてきた精神で、名誉騎士という役職を果たしてきた。その名誉や家名に泥を塗らないようにと、訓練に励み、騎士となり、戦場や国事で活躍することは一族の出の男子は皆、当然のことと思っている。

　私もそうだった。戦場で活躍し、私の仕える王国に貢献するべきなのだが、剣を持つ私の手は小刻みに揺れている。

　戦場が怖い訳ではない。人を斬った恐怖感がある訳ではない。戦場に立ち、敵と対峙するということは、相手を斬るということだ。殺るか殺られるか、そういう世界なのだと覚悟はしていた。

　なら何故、私の手は、私の身体は震えているのだろうか。戦場が怖い訳ではない、人を斬るのが怖い訳ではない、ならば何故震えるのか。武者震い？　いや違う。そういうレベルではない。では何故だろうか。

　戦場が、人を斬るのが怖い訳ではない。この戦争という狂った世界に恐怖を感じたのだ。こちらの意見を一方的に押し付け、相手を征服していくこの『狂』に染まった世界が怖いのだと。

　だから、私は思った。いや、願ったと言った方が正しい。この狂った世界を早く終わらせたい、と。闇の力ではなく、光の力を持って闇に包まれた世界を切り裂く一筋の光になりたいと。

　その願いを胸に秘め、私は家に帰った。名誉騎士長と謳われた祖父に、現騎士団長である父上に、私の願いを聞いてもらう為だ。そして、力を身に付け必ずや闇を切り裂く光になると決意した。

　光の力を身に付けた騎士は、狂に染まった世界を終わらす為に、戦場を駆け抜ける。その手に持つ剣は、光輝き、闇を切り裂く力を秘めていた。

　彼を見た双方の兵士は口を揃えてこう言った。あの者は光を纏う『聖騎士』である、と。