『騎士』

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 忠誠。そして誓い。  国王に忠誠を誓い、国家のために貢献する。いざ、戦時となれば、国軍の一戦力として死力を尽くし勝利へと導く。それは、国王に誓った忠誠に反しないため、一族繁栄のためにその身を捧げる。  私は、ルスラン王国の騎士の一族の出だ。騎士というのは剣士に次いで多い兵種だが、剣士を指導する立場だったり、他の騎士を指揮する役職に就いていたりと、一言で騎士と言ってもその内訳には種類がある。  私の一族は、その数ある騎士の家の一つだ。特別偉い役職に就いてる訳でもない、名誉騎士の称号を賜っている訳でもないが、それでも誇りある騎士の家だ。  私は、幼い頃にある人と約束をした。立派な騎士となって君を守る、と。今思えばそれは告白に近い意味があったのだろうが、当時の私は純粋にそう思ったのだ。  その約束を破らないように、私は訓練に励んだ。騎士訓練学校での厳しい訓練と学問。家に帰ってから励んだ特訓と兄上の扱き。約束の為に力を付けた。勿論、国を思っての気持ちもあったが、その時はその約束の方が勝っていたのだ。  学校を卒業すると、国家騎士試験に挑み合格した。王城で、国王自らの忠誠の儀が行われた。跪き剣を水平に両手で頭の上まで持っていく。それを手にした国王は、剣を鞘から引き抜き、私の肩に当てた。  それから、忠誠を誓うか問い出してきた。私は言う。 「私は、陛下に忠誠を誓い、ルスラン王国と共に歩みます」  国王は、その言葉を確認すると剣を納め、私の手に戻した。私は一礼し、王の間を退出する。これで晴れて私も騎士の一員となった。  部隊に配属され、戦地へと赴く私。あの約束をしたある人にはまだ報告をしていない。何故なら、まだ約束を果たしきっていないからだ。  敵を斬り伏せる。血糊の付いた剣を振ると、紅い滴が飛ぶ。あの戦地に初めて来た日より、私は幾多もの戦場を渡り歩いてきた。終わりの見えない戦い。次第に曇っていく心。淀んでいく眼。そして、疲労。  戦争とは苛酷な世界だ。次々に倒れていく戦友達。明日は我が身かも知れない恐怖。それでも、私は前に進む。  全てはあの約束を果たすため。  国家と国王に忠誠を誓い、幼い頃に誓った約束を果たすために戦場を生き抜く騎士。  彼は約束を果たすために戦い、待ち人はその彼を待ち続ける。
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