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少し早かったかなぁ~
でも、始まりだから
今日から社会人
初めてから遅刻しては
会社の場所もはっきりと覚えてないからなぁ~
四月
高校を卒業して
進学を諦めて就職
通勤ラッシュより、少し早い時間の駅
軽い緊張感と淡い期待の混じった心でボームから線路の先を見ている
自分自身のレールを見るかの様に
「もしかして?野村君」
と、声をかけてきた人が
「え!そうだけど…」
と、野村は声をかけて来た女性を見た。
野村は彼女を見て、頭の中で思い出そうと、でも思い出だせない、少し不安げに見つめなおした。
彼女は笑いながら
「忘れたの?そんなに変わった?中学3年の時に同じクラスだった…美化委員を一緒に…」
野村は
「あ、あ、堀内!
え~変わったね~
ごめん~解らなかった」
堀内は笑いながら
「野村君はまったく変わらないね~
変わった点は制服がスーツに変わっただけだもん」
野村は
「そんな事ないよ!すっかり変わってると思うよ!たぶん!」
堀内は
「今から仕事?て、見たら解るよね~
朝が早いんだ~
なんの仕事しているの?」
早口で質問攻めを…
野村は堀内を見ながら心の中で
「ほんま変わったよね~あんなにダサい子が…
それなら、あの時に告白してたらなぁ~今でも遅くないかなぁ~」
そんな事を思い、堀内の質問を聞いていた。
堀内は
「野村君!相変わらずやね~話を聞いていないのは」
野村は
「え、聞いてるよ!今日が入社式。
だから、遅刻したら、あんまり市内に出た事ないから
堀内は?」
堀内は
「私はまだ学生!
あ、言っとくけど
高校は卒業したよ
大学だからね。
今日は友達と待ち合わせがあるから」
と、ホームからレールの先を見て言った。
野村も同じ様にレールの先を…
遠くに列車に影が…
堀内は野村に笑顔で「仕事頑張ってね~野村君に合う会社だったらいいね~」
野村は軽く会釈をした!
ホームに列車が近づいてきた。
堀内は野村の居た位置から、女性専用車両の位置に手を振りながら移動した。
野村も堀内を見て手を振り、列車が来る方向に向きなおした。
「やはり、彼氏が居るんだろうなぁ~
失敗したなぁ~
もっと上手に話す事ができれば…」
短絡的に考えていた!
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