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疑念は晴れないが、奴等は撃って来ない…
小鳥は「お姉さん」を暫し見つめ自身の眼力を確認する様に歌う姿を観察する…
その時である!
彼は背後に気配を感じた!
「しまった!」
「バックをとられた!」
そこには、やはり笑顔をたたえた「お兄さん」が立っていた。
不注意だった…
一瞬でも「お姉さん」を味方などと思った自分が馬鹿だった…
彼は、挟み撃ちに追い込まれた。
至近距離で彼を追い詰める笑顔の二人…
銃口をこちらに向けたまま動かないエリート達…
敗北…
彼は、屈辱のなか「敗北」を認める他なかった…
意を決したかの様に「止まり木」の中央に移動する。
「煮るなり、焼くなり好きにしてくれ…」と吐き捨てる様に呟く…
「ただ…願わくば一思いに殺ってくれ…」
彼の心境は「侍」そのものであった。
もし、彼の前に脇差しが用意されていたら、彼はそれを手に取ったであろう…
…手が無いが…
アウトロを経て曲が終了する…
「いよいよか…」
覚悟を決めた彼に向かって声が掛かる…
「ハイ!オッケー!」
「お疲れ様でした~」
はぁ?
お姉さんとお兄さんは、途端に真顔に戻り舞台からはける。
二人の表情は、とても同一人物のそれとは思えない。
エリート達は、舞台の鳥かごなど無かったかの様に、あわただしく機材を片付け始める。
皆さん動物を可愛がりましょう…
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