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ズキン……
ズキン………
今日はいつもより足の痛みが酷い。
嫌な汗が体をつたった。
我慢できず、石畳に座り込んで痛みが引くのを待っていると、目の前が暗くなった。
何かが光を遮ったのだろう…
私は顔を上げ、そして言葉を無くした
そこには…先ほど少年が言っていた"赤い本"を持った男が立っていたのだから…
「あ、あの………」
「大丈夫ですか?」
「え?」
「大丈夫ですか?苦しそうに歩いていらしたので」
「あ…、はい。いつものことですから。
お気になさらずに……」
久しぶりに他人から心配された。
この町で私が罪の子というのを知らない人間はいない。
どこへ行っても、足は自業自得であると言わんばかりの目を向けられる。
義足を着けているため、歩けると言っても、不格好な歩き方だし痛みはつきもので、よく足がもつれて転ぶ。生傷は絶えない。
足が不自由と言っても過言ではない、と自分でも思う。
久しぶりの言葉に涙が出そうになるが、男の行動に私の頭はストップした。
何故なら、男は私の頬に手を添えて
悲しそうな表情をするのだ。
「辛いでしょう…?」
辛い……それは、私が捨てたハズのモノだ。
私のような人間が、辛いなんて言ってはいけないんだ。
それでも、頬を伝う涙は止まらなかった…
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