私が君を..

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そして私は話した。 とても貧しい家だったこと… 優しい靴屋の女将さんが赤い靴をくださったこと…… それから母が亡くなり、町で裕福な老婦人に引き取られ、育ったこと……… だんだん、裕福に慣れ我が儘になっていたこと………… そして、"あの"赤い靴を買って教会へ足を運び続けたこと……… 老婦人が死の床についているときに、赤い靴を履いて舞踏会へ行ったこと…… 呪いによって、踊り続けることになり老婦人の看病もできず、老婦人が亡くなってしまったこと…… その葬儀に参列することすらできず、踊り続けていたこと……… そして…森で出会った首切り役人に、足を斬ってもらったこと…… それから義足を作ってもらい、今は教会に努めていること… 私の話を彼は、一言一句漏らすまいとでも言うように聞いてくれた。 私は今まで自分のことを、罪をこんなに他人に言ったことがあっただろうか…? いや、ない。 何故なら、私の罪であり罰だからだ。 私のしてきたことは赦されてはいけないのだ。 他人様に不幸話として、同情してもらうことなんて、いけないのだ。 →
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