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そして私は今、あの町から姿を消した。
町の人々は、神に赦されたから天に召されたのだろうと噂しているようだけれど、私の隣には、彼がいる。
あの日に私を赦し、優しさをくれた人…
「カーレン、どうしました?」
「山猫さん……、私…幸せだな、と思ったんです。」
「…………、」
「山猫さんと居られて、幸せです。」
「私は、人喰いの仲間ですよ?」
「それでも、私は…山猫さんと居られて幸せです。」
「貴方には適いませんね。
まぁ、惚れた弱み…ですかね……?」
クスクスと笑う彼を隣で見られることに喜びを感じ、私も微笑んだ。
「カーレン、これだけは覚えておきなさい。
私は、貴方を苦しめるものは赦しません。
例えそれが貴方自身であっても、私であっても。
貴方を苦しめるものは、私が全て喰べてあげます。」
「なら私は、山猫さんから離れられませんね。
私を苦しめるものは、私と山猫さんを引き離すものですから」
私が言えば、彼は目を見開きそして私を抱き締めた。
このぬくもりがあれば、
彼がいれば、
私は歩いていける。
どんなに痛くても、
辛いことなんて
何もないのだから....
*fin*
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