入学

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――5分経過。 「……。」 遅い。いくらなんでも遅すぎやしないか? だって入学式だぞ、今日。初日早々こんな大遅刻かますなんて何かあったんだろうか。 教室内もさすがにざわつき始めた。 ホントどうしたんだろうか。 そしてさらに3分後―― 教室内での不安がピークに達したころ。 ガララッ という音がようやく教室に響きわたった。 みんながホッと息を吐く中、その人は教卓まで足を進める。 藍色の髪に藍色の瞳。なかなかに若そうな先生だ。 その人は教卓の前にたどり着いて俺たちの方を向き、開口一番こう言った。 「悪い。いままで講堂で寝てた」 ((((うぉおおおい!)))) クラス中のみんなが心の中でツッコんだのが聞こえた。 始めてクラスが一つになった瞬間だった。 「んじゃ、連絡事項と俺の簡単な自己紹介するな」 「ちょっと待て!」 何食わぬ顔で進行しようとする担任に思わず敬語も忘れてツッコんでしまった。 「なんだ、ここらじゃ珍しい黒髪黒眼の童顔少年A」 「誰が童顔だ!」 気にしてんだぞこの野郎!
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