9134人が本棚に入れています
本棚に追加
こんな、どう考えても先行き不安な担任ケイトさんから生徒手帳を受け取り、俺は帰路についた。
帰路と言っても、帰る先も帰り道も学園内なので、なんとも不思議な感覚に襲われる。
ちなみに隣にはロキがいる。どうせなら一緒に行こうと誘われたのだ。
「にしてもよー。あの時のお前のテンパりっぷりには笑えたぜ」
「もうそれは忘れてくれ…」
「いや、ムリだろ。他の日ならまだしも入学式であれやっちゃあ」
「うがぁあああ!」
どうやら今日のことをなかったことにするのはかなり難しいらしい。
トラウマもんだぜちくしょう。
「おい、着いたぜ寮」
自分の中で記憶破壊の呪文を唱えまくっていると、ロキのそんな声が聞こえた。
なんだかんだ話しながら歩いていたら、もうすでに寮の前らしかった。
マンションみたいなところだ。
玄関口にいた寮母さん(優しそうなおばあちゃん)に挨拶して中に入る。
「なあシン。お前何階だ?」
「6階」
「お、奇遇だな。俺も6階だぜ」
っと、いうことで。
二人仲良くエレベーターに乗り、6階に到着。
「部屋番は?」
「606号室」
「残念。俺は613号だ。
まぁそううまくはいかねえか」
6階のロビーで俺たちは別れ、それぞれの部屋へと向かう。
ホント残念だ。ロキが隣ならいろいろと相談しやすそうだったんだが。
最初のコメントを投稿しよう!