プロローグ

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この世界は腐っている いや、世界がというのはいささか語弊があるな この人間が支配する世の中が、とでも言っておこうか だってそうだろう? みんな何もわかっちゃいない この世は力がすべて 支配され、支配し そうするものは力でしかない 単に力と言っても数え切れないほどのものがある 武力、知力、権力、財力 だが、所詮みな同じただの力だ では、その力から解放されるにはどうすればいい? そんなものは簡単だ さらに強大な力でもって押さえ付ければいい 結局はこれが答えだ 自明の理、世界の理だ 力無き者は押しのけられ、抑圧され、ただその力に平伏すのみ 力を有する者はそれを振りかざし、掲げ、下の者を踏み付ける おかしいと思わないか? どうしてこんなことが起きなければならない どうして人は争いを止めようとしない あぁ、わかってる わかっているさ、そんなこと だけど、俺はそれが気に食わない 気に食わないから壊したい 俺の忌み嫌う力をもってしてでも、こんな理をぶっ壊したい 言ってることがめちゃくちゃだって? あぁ、それもわかってる わかっているさ だから、終わらすんだ 俺がこの手で、この手を汚して 今を生きる者たちに悪だと言われようとも この身が世界の敵へと堕ちようとも いつかの未来、俺の想いが報われるのなら ただ、それだけでいい だから――― その〝力〟を俺にくれ  
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