入学

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―――って、ちっがぁああああう! そうじゃない! 今するべきことは冷静な分析じゃない! 「えっと……大丈夫ですか?」 「えっ? あ、えっと……はい…」 もう一度話しかけてもらうことで、なんとか反応できた。 同時に、とんでもない羞恥心が俺を襲う。 超恥ずかしい……。 そんな顔真っ赤な俺の前で、目の前の少女は、その髪と同じ色の瞳をパチクリさせながら小首を掲げている。 なんとも可愛らしい仕草だとは思うが、今の俺にはそんなことを考える余裕はない。 どうする……。 この変な雰囲気(俺オンリー)を打開するにはどうすれば…。 よ、よし。とりあえずなにか言おう。 神よ! 俺に力を! 「えっと……元気?」 「……はい?」 神様なんて大嫌いだちくしょう! そりゃそうだよ! いきなりそんなこと言われたらそうなるよ! そんな下手なナンパみたいなこと言って自滅した俺は、さらに羞恥心が沸き上がる。 今なら恥ずか死ねる。というかむしろ誰か殺してください。 「あの……ホント大丈夫ですか?」 「うん、やっぱ俺ダメかもしんない」 「えぇええ!?」 少女の驚きをよそに、俺はうなだれる。 最早今の俺はこの学園で生きる希望を失いつつあった。
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