入学

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―――で、 「ごめんなさい! ホントにごめんなさい!」 「い、いいよもう。 うん、だからそんな頭下げないで。逆に謝られすぎて心が罪悪感でズタボロになりそうだから」 再度負のサイクルに巻き込まれる俺を前に、どうやら多大な責任感を感じてしまったらしいこの美少女はさっきからこのご様子だ。 必死に頭を下げる仕草も可愛いなぁなんて思えたのは開始時のみで、今はまったくだ。 むしろなんか怖い。謝られすぎて怖い。 「その……なんだ。今日の事件で、みんなに早々と覚えてもらえたんだって考えればそんなに辛くないよ」 どんな印象だったかは一先ず置いといて。 「ホント……ですか……?」 「あぁ、ホントホント」 なんとかこの子を宥めたおすことに成功したっぽい。ついでに自分も。 もう今日のことはポジティブに考えよう。 ヒャッホウ、これで明日から人気者だぜ! 前向き思考バンザイだ! 「そうですか、少し安心しました」 なんとか復活した蒼髪蒼眼の女の子は、そう紡いでニッコリと笑った。……いい。 彼女の笑顔に、本日最大の和みを感じていると、 (……そういえば) 俺はふと気がついた。 早く買い出しに行かなければ夕飯が遅くなってしまう。 話しも一応一段落したし、ちょうど頃合いだろう。
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