入学

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「ミーシャ・ワラキリアです。ミーシャって呼んで頂いて結構ですよ」 買い物を終え、一緒に寮へと帰る道中、ようやくこの子の名前がわかった。 朝もそうだが、なぜ最初に名前を聞かんのだ俺。明日からは気をつけなければ。 すっかりと日が落ち、時刻が7時に近づいてきたころに、やっと俺たちの前に寮が見えてきた。 俺は両手で買い物袋を右に二つ、左に一つずつ持ちながら、 「なぁ、部屋何階だ?」 両手で一つの袋を身体の前で持ちながら、俺の横をてくてくと歩くミーシャに聞く。 ちなみに買い物袋は全部俺が持つと言ったのだが、 「そんなのダメです!」 っと言われてしまい、それならせめてと、一つだけ持つということで妥協してもらったのだ。 だからな、俺は決して女の子に重いものを持たせる不届き者じゃないぞ! 断じて違うんだからな! ……話しを戻して。 ミーシャはキョトンとした表情で俺を見ている。 「えっ……?」 「ついでだから、荷物持って行くよ」 「い、いいですよ! そこまでしてもらうわけには……!」 「いいっての。これくらい男なんだからさせてくれ」 そんな俺の言葉にもミーシャは納得いってない様子で、またも渋っていた。 優しい子だよなぁなんて思いながら、俺説得開始。 「……じゃあ、それでお願いします」 自分が降りるところまでということで、再び妥協して頂いた。
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