入学

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エレベーターに乗り込み、ボタンの前に立つ。 「それで、部屋は何階だ?」 「えと……6階です」 ほほう……? 「ちなみに、部屋番は?」 「605号ですよ」 ふむふむ、なるほど。 ―――神様、素敵やん? 俺は6階のボタンを一つ押し、そのまま一歩後ろに下がる。 ガーっと一気にエレベーターは上昇し、6階に到着。 俺は持った荷物はそのままにエレベーターを降り、歩きだした。 「ちょ、ちょっとシンくん! 降りるまでの約束ですよ!」 「ついでだついで」 「だから、そこまでしなくてもいいって――」 後ろでなにやら言っているようだが、俺は無視する。 袋を奪おうとする魔の手を華麗に避けつつ、ただもくもくと歩を進めた。 やがて部屋の前にたどり着く。プレートは『605』。 「もう、どうして約束破るんですか! 結局部屋のすぐ前まで運んでもらっちゃったじゃないですか!」 なんだか後ろでワイワイ言ってる女の子。でも今は無視。 俺は部屋の前に一つ荷物をおき、そこから五歩ほど進んだところでもう二つ荷物を下におく。 で、カギをガチャリと開けてみせた。 ミーシャは何がなんだか分かってないご様子。 「……まぁ、こういうことでした」 ドアを開けて、ここの住人ですよアピールをする。 今度は飲み込めたのか、口をポカンと開けて驚いていた。 まぁ……そうなるよな。
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