四聖の英雄Ⅰ

入学

｢…………。｣

まぁべつに自己紹介の時に言わなきゃいけないわけでもない。

ばれたらばれたらで、そん時だ。その場にいる俺が考えればいい。

よし、言わないでおこう。

自己紹介なんて適当にすませればいいか。

一通り調理し終えた夕飯を、皿に盛り付けて机に運ぶ。

これまた一人部屋なのに、なぜか六人掛けという無駄に広い机なわけだが。

っさてと。

飯が冷めても嫌だし、後片付けもそこそこにしてさっさと食べてしまおう。

夕飯を終え、最終的な片付けまですませた俺は、ソファーに座ってただボーっとしていた。

明日必要なものもあまりあるわけでもないし、本格的にやることが無くなってしまったのだ。

寝るにもまだ早いし、どうしようか考えていたら今日見た光景がいくつも蘇ってきた。

校舎の大きさに絶句し、入学式で呆然とした。

ロキと知り合い、ケイトさんと言い合い、ミーシャと出会った。

今日はいろんな発見というか、出来事がたくさん起きた。

明日はまたさらにたくさんの驚きが俺を待っているだろう。

(……あんま嬉しくなかったりして)

今日全体を通して思い出して、苦笑をもらす。

また変な人たちと知り合いになりそうな気がする。

でも……。

たぶん明日からも楽しい毎日になる。

なぜだかそれだけは確信していた。